うさぎ☆戦争(2006.9.1) 双葉はその日、部屋の窓に腰掛けてうさぎのぬいぐるみを抱いていた。お気に入りのぬいぐるみらしく、垂れた大きな耳にはリボンなんか結んである。 白いロップイヤーに真っ赤なリボン。そして、長い髪を下ろした双葉。 窓枠にはめ込まれた一枚の絵から、あいつは何気なく問いかけてくる。夕方の涼しい風が俺達の髪を撫でた。 「いっちゃん。うさぎがなぜ『一羽、二羽』と数えられるか知っている?」 「昔、鳥以外を食べられないとかいう時代。うさぎを食べたいがために『一羽、二羽』と数えて、鳥だから食えると言い張った名残り」 何事もなく、静かな夕暮れが過ぎてゆく。窓枠に腕と顎を乗せ、俺は双葉を見上げていた。うさぎを撫でながら、幼馴染みは優しく微笑む。 「馬鹿ね、いっちゃん。うさぎが飛べるからに決まっているじゃない」 「……。……? ……!?」 俺は異常事態に慣れている。脳が多少エラーを起こしても、顔にそれは出さない。涼しい顔で先を待つ。 「うさぎはね、この大きな耳で空を飛べるのよ。でも、うさぎも飛んでしまうと空が狭くなるわ。鳥と喧嘩になるから、うさぎは夜しか空を飛ばないの。だからあまり知られていないのよ」 「お前、象も飛べるとか思ってたり……?」 「ダ〇ボのこと? あれはアニメじゃない。私だって夢と現実くらい分かるわ」 ……こいつ、真面目な顔で言いやがる。 ☆ 本日の試合結果。うさぎ勝利。 -レッツ☆ウォーtop- |